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BOINCと仮想通貨

Berkeley Open Infrastructure for Network Computing

さぼ郎
仮想通貨ではNEMという通貨で何百億円という流出があったと世間では大騒ぎをしています。

NEM

チャートを見るとピークが2018年1月7日で211円、今日現在(2018年1月29日)が108円ですが、時価で500億円とか600億円の流失は、NEM全体としては、さほどのダメージになっていないようです。

驚くのは、Coincheckという会社の社長が20代で、しかも、流出に対して保有資産から円で保証するというのだから凄いものだと思いました。

しかし、投機にしか使えないような仮想通貨は、通貨の経済発展に期する重要な役割を全く無視していると思うのです。

シュンペーターは、イノベーションという言葉に対して「信用供与」が不可欠だとしています。「信用」とはなにかといえば、イコール「投資」だと思うのです。

シュンペーター
DIAMOND ONLINEの記事にリンク ↑

また、シュンペーターによるイノベーションとは、
1.新しい製品
2.新しい生産方法
3.新しい組織
4.新しい市場
5.新しい販売方法

これらが「連続」的に発生するのではなく、「断続」として突如として現れるわけです。そして、イノベーションの萌芽に対して資本投入は不可欠で、ここにおいて「金融」の役割があります。

日本の金融は、ともすれば担保を取って「融資」になりますが、これでは思い切ったことはできずに、結局、帰納法になり、石橋を叩いて渡るような事になりかねません。

演繹法の発想と行動ができ、融資ではなく投資で大きなお金が動くアメリカにおいて、イノベーションの差が出てしまうのは、こうした社会の仕組みも大きな影響があると思います。

仮想通貨に最も欠けているのが「金融」という考え方です。お金を借りて利子を払って利益を出すから経済は成長できるわけで、仮想通貨には、その原理がありません。まさに価値が仮想的に上がったり下がったりするだけで、その乱高下で儲けをだそうとする輩が売ったり買ったりしているだけです。

金融とは異なりますが、IPOに対する「ICO」というが仮想通貨界隈にあります。

IPOとは、「Initial(最初の)Public(公開の)Offering(売り物)」の略。
未上場企業が、新規に株式を証券取引所に上場し、投資家に株式を取得させることだそうです。

対する、ICOとは (Initial Coin Offering:イニシャル・コイン・オファリング/新規仮想通貨公開)の略で「トークン」と言うかたちで売り出す仮想通貨のことのようです。「トークン」という仮想通貨を、ビットコインのような仮想通貨で販売するわけです。

法的背景は、

まず、仮想通貨には1号仮想通貨と2号仮想通貨があって、1号の方はビットコインやライトコインのように、不特定の人とで移転可能な電子的財産価値をいい、2号の方はその電子的財産価値と交換できる電子的財産価値なんだそうです。

トークンを、あたかも株式のように不特定多数に1号仮想通貨で販売するとなると、トークンは2号仮想通貨の扱いになって仮想通貨交換業者以外は販売ができなくなるようです。

しかし、不特定ではなく特定の人に販売するのであれば、「びみょ~」ということらしいです。いずれ、事件が起きれば規制の対象になることは必至のようですし、間違いなく悪用した事件が発生するだろうと思います。

また、配当を出せば有価証券法に触れます。ちなみに、中国ではこの「ICO」はご法度です。

しかし、イノベーションに寄与できず、市場経済の発展にも寄与できないとしても、国際送金に寄与できるなら、通貨としての役割は十分にあると思います。

イノベーション

現状の国際送金は、銀行間で取引を相殺して差額を国際送金をしているのだそうです。しかし、営業時間が合わず、また、直接的取引をしていない銀行間だと、また、仲介する銀行が必要だったり、中央銀行が介入したり、為替の変動があったりで、ともかく手数料が高く付くわけです。

日本に働きに来ている労働者が故国の家族にお金を送ろうとすると、小口送金になるので専門の業者に依頼することになります。業者は各国に営業所を持っていて、自己資金で送金に代わる立替をすることで手数料を取るわけです。一般に10%以上だそうです。

仮想通貨が健全性を持つならば、国際送金の手数料をかなり下げることができそうな気もしますが、きっと大きなお金の送金には向かないような気もします。なぜなら、交換所の資本力に影響されることと、一方的な出金に対して受け取る側の支払い能力に依存せざるを得ないことになるからです。

例えばBitCoinが200万円を超えた時がありましたが、その時に換金依頼が集中したとすると、交換所の保有する現金に限りがあったなら、換金できないわけです。

そんなことを調べていたら「BOINC」というカルフォルニア大学のバークレイ校で開発した分散コンピューティングプロジェクトのプラットフォームがあるという記事を見つけました。

BOINC
wiki「BOINC」にリンク ↑

そもそもは、宇宙から来るノイズから知性体の信号をキャッチしようということで始めたのだそうですが、現在では、
天文学
気候学
地震学
数学
物理学
化学
構造生物学
分子生物学
疫学
認知科学
計算機科学
アニメーションレンダリング
パズル
テスト、その他
オムニバス
などのジャンルがあって、ここに自分のパソコンのCPUを提供することで、分散コンピューティングで科学計算やら技術計算やらに供することができるわけです。

ビットコインはマイニングということで、猛烈な計算をして先駆けてブロックを台帳に登録するという処理とノードとして台帳を保管するすると、報奨金にありつけるのだそうで、それを「プルーフ・オブ・ワーク」という、実に無駄な処理工程があります。

ビザンチン将軍問題というのを回避するための処理だとか、何かで読んだような気もしますが詳細は不明です。ともかく無駄な競争のような気がしますし、莫大なエネルギーとCPUの浪費があります。

で、科学計算に使うために作られたBOINCを使って、「プルーフ・オブ・ステーク」として、仮想通貨が発行されているのだそうです。

これは、競争してマイニングするのではなく、科学計算に協力するために提供しているCPUを使って、マイニングするのですが、マイニングするマシンを指定することで無駄な計算は一切する必要がありません。

で、マイニングや分散処理に協力することで、仮想通貨から得られる報酬を協力者に分散して提供することができるというわけです。

グリッドコイン
gridcoinのチャートにリンク ↑

だいたい、1coinが0.1~0.17ドルくらいを推移していますが、とても合理的だし、貢献できるし、そしていささかでも報酬が得られるという、とても前向きで健全な仮想通貨だと思うので、これを研究して、CPUの貢献をしながらgridcoinの価格推移を楽しんでみようかと思っています。

gridcoin
gridcoinにリンク ↑

乱高下だけが目当ての仮想通貨は、いずれは見放される(投機ということはみんなが儲かるのではなく、儲かる人が片方にいれば、必ず損する人がもう片方にいなければなりません)と思います。また、プルーフ・オブ・ワークにより公平性と安全性を保つというストーリーには、単純にはうなずけません。

エネルギーの膨大な無駄があり異様な気がします。ノードとして登録しているマシンのCPUの能力を評価して乱数的にワークを振り分けるとか、無駄がなく、かつノードとしての貢献もできて、運が良ければ報酬が得られるような仕組みにするべきと思いますが、ビットコインでは、今更仕組みを変えることは不可能でしょう。

ちなみに、プルーフ・オブ・ステークでは、coinの保持数と未使用の年数を乗じて一番値が大きいCPUにステークが割り当てられるのだそうです。で、マイニングをすると保持していた年数が全てゼロにリセットされます。つまり、連続してマイニングにありつくことはできません。

ある種の選別条件はあるものの、報酬を得ると、チャンスはゼロにリセットされるわけです。で、マイニングに供していないCPUは科学計算に割り当てられるという、ワタシ的には注目の仮想通貨です。

願わくば、国際送金などに大いに役立つために交換所が率先して扱ってくれればいいなと思います。通貨を投機に使うこと自体に、異常性があると思うのですが、「億り人」が出たという話があまりに独り歩きしすぎているような気がします。

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