科学的
新型コロナワクチン争奪戦
Newsweek
アメリカのファイザー社が新型コロナウイルスに対するワクチンが9割超で効果があったという発表で世界の株価が上がるという効果までありました。
新型コロナワクチン開発「ワープ・スピード計画」というのがあって5社が選定されていてトランプ政権から資金提供も受けているようです。トランプ政権の政策であるため、ファイザーとしてはバイデン政権になる前にFDAの承認が得たいのでしょう。
そもそも、ワクチンとはなにか?
ワクチン、またそれを用いた予防接種とは何か。簡単に言うと、病原体、すなわち「敵」をヒトの体内で認識・学習させ、それに対抗できる「特殊部隊」を作り、本物の「敵」の来襲に備えるものである。【國井 修(グローバルファンド〔世界エイズ・結核・マラリア対策基金〕戦略投資効果局長)】
というような説明がされています。
生ワクチン
■ BCG
■ 麻疹・風疹混合 (MR)
■ 麻 疹 (はしか)
■ 風 疹
■ 水 痘
不活化ワクチン・トキソイド
■ 百日咳・ジフテリア・破傷風・不活化ポリオ混合 (DPT-IPV)
■ 百日咳・ジフテリア・破傷風混合 (DPT)
■ ポリオ (IPV)
■ ジフテリア・破傷風混合トキソイド (DT)
■ 日本脳炎
■ 肺炎球菌 (13価結合型)
■ インフルエンザ菌b型 (Hib)
■ B型肝炎
■ ヒトパピローマウイルス (HPV):2価,4価
■ インフルエンザ
■ 肺炎球菌 (23価莢膜ポリサッカライド)
などがあり、それ以外にも任意で摂取するワクチンがあります。先行していたイギリスのアストラゼネカ社のワクチンは重篤な副作用が出たとかで開発が保留になりました。その直後のニュースとしてファイザー社のニュースが出たため、世界は希望(株価上昇として)が持てるようになったわけです。
img01 ワクチン
ワクチンにはいくつかの型があるようで、アストラゼネカは「ウイルスベクター」という範疇のワクチンだそうで、簡単な説明としては、無害なウイルスに抗原となるタンパク質を忍び込ませて体内に入れることで抗体を学習させる方式だそうです。
中国のワクチンは人のアデノウイルスを前提に開発しているとのことですが、この場合は、そのアデノウイルスに抗体を持っていると効果が望めず、アストラゼネカ社ではチンパンジーのアデノウイルスを使用していたとのことです。
翻ってファイザー社のワクチンは、「mRNA」という範疇のワクチンだそうです。これを簡単に説明すると新型コロナウイルスの遺伝子情報を基に人工的にmRNAを作り人の体内で抗原タンパク質を作ることで免疫を誘導するのだそうですが、不安定で壊れやすいらしく、ニュースなどではマイナス80度で保存するというようなこともテレビでは報道していました。
ちなみに日本で先行している大阪大学発のアンジェス社では「DNA」という範疇のワクチンのようです。これは大腸菌などのDNAを利用してウイルスの一部を作るようなDNAを組み込み、その細胞に対して免疫を誘導するという方式のようですが、いくつかのリスク(ヒトのゲノムが書き換えられてしまう危険)も有るようです。
ちなみに、第3段階、第2段階の開発状況において「DNA」範疇のワクチンはありませんから、成功すれば日本が先駆けることになります。
安全性、年齢や性差(更は人種なども)による違い、無症状の陽性患者への影響などもしっかり把握する必要があるため、これまでワクチンの研究開発には10年以上の年月がかけられてきたという経緯を、ある程度無視することで今回の新型コロナウイルスに対抗しようとしていますが、5年後、10年後にどの様になっているのかは不明です。
いま、大流行の「鬼滅の刃」という漫画がありますが、そもそもの原型は「桃太郎」のようなもので、鬼がウイルスなら、イヌ、サル、キジが「鬼殺隊」で、「キビダンゴ」がワクチンということになりそうです。
img02 桃太郎
一生懸命戦うけれど、鬼のウイルスは変異し、どんどん強くなっていきます。それに対抗するためにはワクチンも強くしていかなければならないわけですから人体への影響は遺伝子組み換えの大豆を食べるとかのレベルではなくなります。
アメリカのモンサントという会社が販売しているラウンドアップという除草剤は、とても強力で雑草だけではなく野菜も枯れてしまいます。そこで、ラウンドアップにも負けないように遺伝子を組み替えた種を使おうというのがアメリカ人の商人の発想です。
簡単に言えば、アマゾンのようなジャングルの木を燃やして平野にして、そこにラウンドアップで雑草を枯らして、遺伝子を組み替えた種をまけば、人手をかけずに大量の野菜を収穫することができるという、生産者にとってはとても都合の良い発想です。
img03 ジャングル
ある意味、モンサントのような会社も、一種の「鬼」のような気がしますが、「効率」とか「合理性」、「コスト」、「利益」を追求していけば、必ず「鬼」の領域に踏み込んでいくこととなります。
「鬼」の血が入ってしまった人々にとっては、鬼としての判断しかできず、鬼としての効率を至上とするので、鬼に食われる庶民とは価値観が根本的に異なるので、話してもわからない隔絶が生じてしまうのは必然のような気がします。
img04 鬼
かといって漫画のようには、「鬼殺」することもできないのが資本主義という鬼ヶ島じゃないでしょうか。かといってお隣中国を見ればわかるように共産主義と言ってみたところで、共産党そのものが「鬼」のようなもので、とどのつまり、人間の社会は「鬼」と「鬼に食われる者」で構成されている事が見えてきます。
鬼滅したところで、次なる社会になれば、それはそれで新たな「鬼」が支配する社会にならざるを得ないわけです。これは人間社会だけに特有の性質で、それを生んでいるのが、万物の霊長である人間の「知性」そのものが「鬼」だからじゃないでしょうか。