視点
近畿大学卒業式、キングコング西野亮廣のスピーチ
過去は変えられるという話と時計の話
彼は芸人だから、話がうまいのは当然のことなのですが、中でもこの動画のダイジェストで語っている内容には含蓄があると思いました。
その1.過去は変えられる
つらい思い出であっても時間の中で笑える思い出にすることもできるし、アップデートの起点とすることもできるという話です。
似たことは、荘子が「胡蝶の夢」でもいっています。というのは、夢を見ている自分と、夢の中に出てくる自分の本質的な相違はなにか? という問いかけになります。
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このことは、実在と観念の相違についての問いかけでもあります。「今」は実在していますが「過去」は記憶となっています。記憶は都合のいいように書き換えることも可能だとされていますし、例えば小学校の同級生などと会って話をすると、相手が覚えていること自分が覚えていることに違いがあることなど珍しくありません。
つまりは、記憶なども時間の中で観念となっていくわけで、まさに夢の中に登場する自分と、夢を見ている実態のある自分との違いは、時間の中ではどちらでもいいことになっていくことは十分に有り得る話です。
「真実」「事実」なども、記憶を通して想起すれば、自分の観念としての認知でしか無いわけで、「真実」「事実」よりも記憶が優先することは自明じゃないでしょうか。
西野さんが言うように「過去は変えられる」のです。
その2.時計の短針と長針の話
西野さんは絵本作家でもあります。スピーチの時点で時計に関する絵本を作っているのだそうです。
そこで、面白い話をしていました。
時計は常に長針が短針を追い越していくのだそうです。しかし、11時台だけは短針が逃げ切るのだそうです。長針が追いついたときは12時になってしまっています。
西野さんは、このように言います。人生が長針のようなものだとするなら、11時台は報われない時間帯になります。しかし、次の12時にさえなれば鐘がなる。
だから、挑戦を諦めないでくださいというのが、彼のメッセージです。
どうです。含蓄のある話じゃないですか!
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そういえば、ロレックスの腕時計の音を聴診器で聞いていたら、音が変わる瞬間があるという発見をしたという話を聞いたことがあります。
電気仕掛けの時計と違って、機械式時計は、時間によっていろいろな部品を動かしているわけですから、きっと、そんな関係で音が変わる時間帯があるのでしょう。
おそらく、ロレックスを作っている職人なら、11時台には長針が短針を追い抜けない事は知っているのでしょうね。
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結局、亀が兎に勝つのは、この11時台ということなんだと思いました。