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終焉

さぼ郎
終焉」。

当然、中国から来た漢字なのでしょうけれど、語源を調べてみるとなるほどと思える解説は見つかりませんでした。

「焉」は「ここに」「これにより」という意味に使うのだそうです。ということは「終焉≒The end」ということでしかないわけです。

最近、大手芸能事務所の社長が高齢により亡くなりました。つまりは寿命が終焉を迎えたわけです。生物たるものの宿命です。

彼の功績は、スターは時代が作るものではなく、スターは事務所が作るものであることを日本の社会に浸透させたことでしょう。

ワタシが少年の頃にスターと言えばジェームス・ディーンとか、日本で言えば赤木圭一郎などを思い浮かべます。歌手でも、当時有名な歌手や俳優は、やはり時代の要請があって、出るべくして世に出てきたという感じが強かったように思います。

しかし、それでは効率が悪すぎる。スターになる人にとっても、そのスターによって商いをする人にとっても。

そこで、必然的にスターを生み出す仕掛けを考え、作り上げたという功績が、彼および彼の事務所にステータスを与えたのも、これまた時代の要請だったと言えるかもしれません。

では、どうやって必然的にスターを生み出すのかといえば、メディア戦略と寡占状態による選択肢の制限によって、受け取り側の判断の自由に制約をかけてしまうことから成り立っているように見えます。

このことはスターに憧れる「ファン」にとっても、実は楽な話で、大衆に埋没している「明日のスター」を見つけるよりは、いま目の前にいるいくつかのスターから自分好みのスターを見つければいいわけですから、発見の努力はいらないわけです。

つまり、社会とか時代が逸材(原石)を世に出し、大衆が育てる(磨き上げる)必要を省略させてくれたわけです。

しかも、男の子に限定したのも、そもそもは自分の好みだったのかもしれませんが、結果とすれば、発掘したスターが40歳になっても、50歳になっても使いみちはあるわけで、女の子よりはずっと長い寿命を保てるわけです。

チビのうちから、そうした環境で育て上げるわけですから、ほぼ「三つ子の魂」的に芸能という環境に馴染めるわけですから、自然とスタートしての風格や振る舞いも身についてくるわけで、結果として押しも押されもせぬスターが誕生していくわけです。

つまり、効率の悪い時代のスターには、個性とか才能とか努力とか、なんにせよ、他にはない「卓越」がありましたが、彼の作ったシステムでは、ともかくメディアへの露出、暴露によって「有名」にすることと、「三つ子の魂」的立ち居振る舞いを子供の頃から刷り込むことによって、集客・集金ができる、立派な「芸能人」を作り出すことができる仕組みを日本社会に定着させることができました。

事務所として寡占状態を作り上げられれば、これは一種の「権力」になり、競争相手が選択肢を増やそうとしても、他のスター候補の露出を力で排除することもできるようになるわけです。

もちろん、普通の子ではないから事務所が採用するのでしょうけれど、逆に言えば、普通の子であったとしても事務所の力でスターにすることもできるのでないかと思えますが、なんにしても、彼の死によって、あるいは、現状の事務所力によるスター生産システムも、そろそろ終焉を迎えてもいい頃なのかもしれません。

「権力」による専横には、必ず寿命がくることは歴史が証明しています。

政治だって同じです。日銀の大規模金融緩和だって、終わりが来ないわけではない。ただ、終わりが来るときにアベクロがきちんと始末していくのかといえば、きっとそうではなく、次の総裁なり、首相なりがお荷物を背負わされることになり、アベクロは「私達ならうまくやるのに」と高笑い。

ツケは国民が払うことになるのでしょう。

だから、権力の寡占状態は、必ず専横を招くことになるので、それが選択可能なら賢い選択をしなければいけないわけです。しかし、専横する側からすれば選択肢を排除しようとするわけで、こうしたシステム(民主主義あるいは国民国家)も、必ず終焉を迎えるはずです。

子供が増えない時代になりました。貧しい、将来が不安だから といいますが、江戸時代だって明治から戦前だって、庶民の生活は貧しかったはずですが、子供はたくさんいました。

人口減少という社会現象の背景に何があるのかは不明で、賢い選良(国会議員と官僚)が時間とお金を使っても人口増加に転じないわけですから、それなりに難しい背景があるのでしょうけれど、これも一つの時代の終焉を示していると言えそうです。

民主主義も経済成長もスター誕生というシステムも、いろんなことが終焉すれば、また、あたらしい仕組みが誕生してくるでしょう。

アメリカでは野球の審判にAIを使うようになっているとか。欧州では政治にAIを使おうとしているようです。ブレグジット一つ取ってみても政治家という主義や主張のある人達が集まっても国民にとって最良の判断ができません。

これなら、AIに政策を提示させて、その中から選良が妥当と思われる政策を選択するようにしたほうが、ずっとマシだと思う国民が増えているということのようです。

AIにアベノミクスの採点をさせたら、一体何点になるのでしょうか? 「可」あたりが取れればいいのですが、「不可」になる公算が高そうですね。でも、選挙では国民が支持をするわけで、この選挙という仕組みも実質的には終焉している気がします。

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