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雑感

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Newsweek 2020.12.15号

さぼ郎
さて、この記事を書こうとした動機は、「ナイキの人種差別を題材としたCM」のマーケティング的な狙いの正しさを説明している点です。

今の世の中、何かをすれば「批判」と「擁護」があふれ出します。総理大臣が70歳以上の爺様集めて高級ステーキハウスで忘年会すれば、大変な批判の嵐になります。

そうすると、なぜか擁護する人が現れたりして、喧々諤々たる状況になりますが、マーケティング的に、あるいは政策的に狙いが当たっているのか、外れているのかを見極める必要があると思います。

単なる野次馬としてネガティブ、あるいはポジティブなポジションで感情的な意見を持ったところで、世の中に対しては当然のことながら自分にとっても、何の意味をもたらすものではありません。

出来事に対して賛否が分かれた場合は、何が起きていて、その背景で利するものは誰で、損をするのは誰なのか。そして、それはなぜそういうことが起きるのかを見極める訓練が必要じゃないかと気づかせてくれた記事だと思いましたので、取り上げることにしました。

Newsweek 2020.12.15号の特集は「ジョン・レノン」でした。

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1980年12月8日に殺害されたのだそうですが、実をいうとビートルズにはあまり興味がないんです。

ここで、取り上げたいのは「ナイキCMの戦略的な正しさ」という記事です。



出てくるのは在日コリアン黒人とのハーフ学校でいじめられている子の3人が自分の立ち位置で苦しさや悩みを吐露する。

CMのタイトルは「動かしつづける。自分を。未来を。」です。

みんながありのままに生きられる世界になるまでなんて、待っていられない。自分で変えていく という決意をサッカーを通して語っていく内容です。

このCMに対してコメント欄を見る限り「批判」が圧倒的に多いです。一つにはなナイキがウイグル自治区での強制労働に関与したという疑い。もう一つは、在日の子の出演を朝鮮総連に依頼したというような内容。

根底にあるのは、日本では多数が、このような差別をしているわけではないとする日本を悪辣な国として扱ったナイキへの批判です。

しかし、記事では「バイヤーペルソナ」という言葉を持ち出してきます。これについては後で説明しますが、ここで、失敗例として例示しているのが牛乳石鹸の「与えるもの」というCMです。



メインの新井浩文が、その後問題を起こしたことは別としてこのCMが失敗しているのは、牛乳石鹸が狙わなければいけなかったのは亭主ではなく、女房であるべきだと指摘します。

その次も失敗例としてストッキングメーカー・アツギの「ラブタイツ」です。

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このようなイラストを集めて公開したのだそうですが、買うのは女性で、女性の共感を得なければならないのに、女性を性的な対象として、悪い言葉で表すなら欲情をそそらせるようなイラストが多かったことが購入層である女性の反発を起こしてしまいました。

続いてナイキがコリン・キャパニックを使ったCMを評価します。かれは、警察による黒人の殺害に抗議して国歌斉唱において起立を拒否しトランプから非難された人物です。



そうしたキャパニックを起用する背景は「信じろ、何を犠牲にしても」というメッセージだそうです。

ナイキは多くのアメリカ人から嫌われても、ブランドに忠誠心を抱くバイヤーペルソナに対してメッセージを送っているわけです。

ナイキを批判する人々が、ナイキブランドのファンだったわけではないわけで、逆に冒頭の動かしつづける。自分を。未来を。」をいいとする人にはバイヤーペルソナが多くいたようです。

CMにはメッセージがあって、そのメッセージに反応する対象がバイヤーペルソナであることを狙っているはずですが、どうかすると牛乳石鹸やアツギのようなCMのつもりの作品になってしまいます。

メッセージ。これが今の政治にも欠けているような気がします。

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