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「リブラ」って何?

さぼ郎
Facebookが「リブラという暗号通貨を発行するということで昨年、少し騒ぎになりました。当初は2020年中に発行するのことでしたが、アメリカの議会承認を受けるまでは発行されないようです。

頓活

トランプ大統領は「銀行の免許を取れ」といっていますし、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は「深刻な懸念」と表明しています。

ビットコインのときは、世界中の然るべき機関からの反対や警戒がさほどにはなかったように思いますが、リブラに対しては凄まじい異論が出ています。

一つには、Facebookは、ロシアと結託してアメリカ大統領選に介入している疑いがあるので議会の印象はよくありませんが、トランプにとっては味方のはずですが、民主党・共和党を通じて民主主義を冒涜することへの批判は根強いものがあります。

日本では、森友・加計や桜を見る会など、ことごとく内閣と官僚が結託して民主主義をないがしろにし、自死まで出しているにも関わらず関係者全員が無罪放免のお国柄なので、ここだけでも、大きな違いがあります。

頓活

主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議でも、リブラ対策が大きな議題となり、アメリカによる厳格な規制を要求しています。日本は、アメリカが反対しているから「とりあえず」反対しておこうというくらいの感じのようです。

どこからが銀行で、どこからがノンバンクなのかは分かりませんが、リブラがノンバンクなら厳密に金融規制下に置く法的根拠がないようです。

Facebookが、このタイミングで「リブラ」のプランを発表した背景としてはアリババとテンセントの影響があったと思います。

アリババは自社のECOサイトの決済・保証サービスとして誕生し、銀行の提携数と加盟店の数により飛躍的に成長しています。

ソフトバンクの孫正義さんはアリババへの投資を9000倍にしたとか。アリババへの投資はよかったけれど、その成功体験でWeWork、Uber、OYOと空振り続いているようで苦戦中ですね。

アリババは中国本土で14億人中9億人が利用。グローバルで12億人。2010年からはAI審査による即時ローンを提供。2013年から「ユエバオ」という資産管理プラットフォームで2700億ドルを6.7%で運用。6億人のユーザーを集めています。

2015年には「セサミクレジット」でユーザーの信用をAIが算出し一定以上のスコアを持つヒトを対象に展開。超低額の驚異再医療型サービスも展開中。

すべてのサービスはモバイルアプリの金融プラットフォーム上に展開しており、決済機能を外部に開放することで公共料金の支払、一般消費の会計、ローン、資産運用、医療サービスとモバイル完結で利用ができます。

同様のサービスはテンセントでも展開中。テンセントは2013年登場して急成長中。

まさに「アフターデジタル」そのものですが、中国という特殊事情の国家が背景にあることは見逃せません。いざとなれば、アリババが所有する個人情報は中国共産党に提供が可能で、おそらく今でも使用されていると思います。

これらの動きにFacebookは危機感を持っているのでしょう。デジタル通貨でリードしなければいずれ中国のサービスに席巻されることは明らかですから。

頓活

タイミングは今しかなく、他国からデジタル通貨を含む金融サービスが出たら、後塵を拝してしまいます。まして中国が法定通貨をデジタル化するという話もあって、これが現実になると一帯一路での決済が「デジタル元」になる懸念があります。

今般のコロナ禍で中国が医療支援をしているのが130ヶ国に及んでいるようです。世界196カ国中の130ヶ国が中国の経済圏に飲み込まれようとしています。

Facebookのデータは、デイリーの使用者数は約16億人、マンスリーでは24億人が利用しているそうです。売上の90%は広告費。広告収入には限界があることから、早く離脱しなければならないという事情があるようです。

テンセントの売上では広告収入は全体の20%程度で金融サービスが大きく伸びています。Facebookとしてはダイレクトにユーザーからの売上を拡大していきたいと考えていることは間違いがありません。

リブラはユーザーの資金を1対1で安全資産で運用するとのことですが、金利はユーザーに還元しません。金利還元すれば各種法律に抵触する懸念があることや、低金利国の資金の流入が考えられ、各国金融業界からの批判をかわす目的もあるのでしょう。

リブラにはMOVEという言語が提供されており、送金・決済システムとして展開後には各種の金融サービスやゲーム、ECなどを展開させて、手数料を獲得するであろうことはミエミエです。

スマートコントラクトをリブラ上に構築し、あらゆる決済をリブラ通貨で行えるようにすれば、送金・決済だけでなく強大な商圏を構築し、世界制覇できるという夢を描いていることでしょう

現在、債券市場は100兆ドルあると言われているのだそうですが、流動化には複雑な手続きがあり、その階層ごとに手数料を取られる仕組みがあるのだそうですが、リブラ上で債権の流動化が可能になるなら資産運用をしている層にとっては多大な恩恵があります。

一方、Facebook社としては様々な問題(スキャンダル)を抱えており1社単独で金融事業を成立させることは批判を招くことは間違いのないところで、リブラ協会はFacebookから切り離された形をとり、コンソーシアム(共同事業体)型としての運用を表明していますが、実態はFacebookそのものの運営であることは自明のことです。

頓活

既存の金融システムをアップデートし、ブロックチェーンによるエコシステムを標榜はしているものの、実態は一人勝ちの絵図面を描いていると思います。

エコシステムとは、元々は生態系の用語です。ある領域(地域や空間など)の生き物や植物がお互いに依存しながら生態を維持する関係のようすをエコシステムと呼ぶとのことですが、ネットの世界、しかも金融が絡めば勝つか負けるかの2択でしかありません。

リブラが動き出せば、ビットコインと違って乱高下が見込めず投機には向きそうもありませんが、本来の貨幣としてグローバルな決済や送金にはとても便利になるでしょう。

しかし、Facebookの狙いはそこではなく、アリババやテンセントと同様に、ローンやゲームやコントラクトや相互保険と、どんどん、裾野を広げていくでしょうし、その過程でユーザーの信用度をスコア化し、人間としての価値もスコア化していく事も同様のことでしょう。

頓活

Facebookは個人情報をコンサルタント会社に売ったという過去がある会社であることは隠せない事実です。その一つだけでも、信頼性・モラルの低い企業であることを斟酌しなければならないことで、どんなに立派な企画であってもその裏にはクログロとした欲望が見え隠れしているような気がします。



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