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科学的

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心と遺伝子

さぼ郎
「心」がどこにあるかといえば、大方の人は「」あるいは「」にあると思っている。

頓活

とはいえ、「ハート(heart」となると、どういうわけか「胸」を指すと考えるフシがある。

つまり、「」には「愛情」「正義」「道徳」「宗教観」のような観念的な感情までが含まれている。裏切ったり、人を傷つけたりすると「」が痛む。

脳には神経細胞が千数百億個あり、シナプスでつながっている。シナプスは脳全体で千兆個ほどあるとされている。

アミノ酸は20種類しかないが、結合の種類で10万種類を超えるとされている。

そのタンパク質を作る司令を出しているのが遺伝子で、4種類の記号でコード化されており、ヒトのゲノムは30億個の塩基コードで作られており真っ直ぐに伸ばすと2メートルになる。このゲノムが60兆個の細胞全てに23対の染色体として入っている。

ハート」が胸にあると思うのは、胸がドキドキしたり疼いたりするからであるが、それは内分泌の作用により、実際には多くの場合、脳から出た司令の結果である。

ゲノムの殆どは、ヒトとしての個体差がないが、0.1~0.3%ほどの差異があり、数にして300万~900万くらいの違いが、個体差を作っている。

カルシニューリン」という脳内伝達物質が抑制されると統合失調症の発症に関与があるとのこと。

カルシニューリン」は、サイトカインなど免疫系の発言にも関与しており、その他いくつかの疾病にも関与があるとのこと。

アルファカムケーツー」という伝達物質が欠損すると、双極性障害(躁うつ病)の発症に関与があるらしい。

ちなみに、アルファカムケーツー」のノックアウトマウスを作って調べてみたら、2000もの遺伝子に違いが見られたとか。

同じような話は日経サイエンスにも掲載されたりしている。

心や感情を生み出す仕組みが1つや2、3この遺伝子が対応していることでもなく、脳内では、とてもアナログな仕組みになっている。

一卵性双生児でも、生まれるタイミングが僅かに違うことで全く同じ成長をするわけではない。この辺りはまさに「複雑系」である。

逆を言えば、遺伝と環境の相互作用は、それぐらい複雑な関連を持っていると言える。

遺伝子はタンパク質の生成に関わっており、そのタンパク質そのものだけでなく、そのタンパク質が度のタイミングで、どれくらい、そしていくつのタンパク質が関連して作られるのかによって脳内のシナプスの接続が変化し情動や感情、そして思考が形成されくるのであろう。

脳は、ブロードマンが地図を作ったようにユニットになっていることは間違いのないところであり、それを規定しているのは遺伝子である事は間違いのないところであるが、個々の機能や役割は、そうそう単純なモジュールによって作られているわけでもなさそうである。

頓活

ともかく、現在の科学では脳に関しては「わからないことがわかる」程度から格段に理解が進むことはなそうである。

1%ゲノムが異なると、非常に異なる結果を生む事は間違いのないところで、それは当然、「」や「知能」にも大きな影響が与えられてしまう。

同様に、いつ生まれるか、どこで生まれるかも大きな変化を生むことも間違いのないところである。

脳や遺伝子を研究している人たちにとって、遺伝子と心の関係は興味の尽きないところであるとは思うものの、簡単に結論が出せるようなら先天的異常を持つベビーの遺伝子操作が持つ、倫理にとどまらない問題にも答えを出せるはずである。

操作したゲノムが与える影響は、現状では「人体実験」そのものでしかなく、科学の進歩などではなく、人道を軽視しているという批判を回避できる理屈を見出すことはできない。



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