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アメリカの世界戦略と日本経済

さぼ郎
アメリカの世界戦略に乗って、日本経済は大復活する」という本があった。2013年の出版。いまから7年前。東日本大震災の2年後。

頓活

アマゾンの書評を見ると61%が星5つで7割が高評価を与えている。

当時のドル円レートは、94円20銭だとかで、それでも79円から円安になったから輸入は厳しくなっていると書いてある。

しかし、アメリカではシェールガスによってエネルギー価格が下降するのでデフレになることで、世界がデフレ基調になるとことを予想している。

著者によれば18世紀の産業革命においてもデフレになり庶民の生活水準は飛躍的に向上していったとのこと。

アベノミクスについての解説

韓国では通過安を誘導して輸出企業を支援した結果、輸出企業に国際競争力は増大したがインフレによって国民経済は疲弊した。

日本も景気は決して良くないがデフレで国民生活がかろうじて守られている。しかし輸入超過が円安の影響を受けることで物価が上昇する見通しになり国内に出回る通貨の量が減ることで新規国債の引き受けてがいなくなるため金利が上がる。

国債の引き受けては、少なくとも日銀が積極的に買っているためか、金利が上がっているという話は聞かない。

頓活
https://www.jftc.or.jp/kids/kids_news/japan/tokucho.html

グラフを見るとたしかに2013-14年当たりは輸入超過になっていますが、2016-18年を見る限りでは均衡しいる。

円安は現在およそ110円/ドルになっている。

アメリカからシェールガスの輸入ができないと慢性的な赤字から抜け出せなくなる。

日本が輸入しているLNGは2017年で8,363万トンだそうだけれど、2019年あたりから1,000万トンになるとか。

公共事業をいくら増やしたところで税収が支出を超えることはないので財政赤字が増え続ける。公共事業を拡大すれば財政悪化を招き国債利回りが上昇してしまう。

頓活
https://built.itmedia.co.jp/bt/articles/1909/18/news030.html

2013年度の公共事業費は底になっているが、2014、15年度と上がって、あとは横ばいになっている。

MMTではインフレになるまで財政出動せよと言うけれど、日本はいままで1千兆円の財政出動をしてきたけれど、デフレから脱却もできず、景気も良くならず、出生率は下がる一方になっている。

財政出動をするというような雑駁な言い方には、いかなる理論を突きつけたところで説得性はない。MMT論者たちも、言い方、伝え方を考えるべき。

「二言目には自国通貨を発行できるならデフォルトは起きない」というのが決め台詞のようだけれど、およそ浸透性を持たない。

アベノミクスが成功だったか、失敗だったかは、立場によって意見が異なるところもあるとは思うけれど、インフレ2%という目標が達成できていないのだから、その点において間違いなく「失敗」だった。

TPPへの参加

オバマ政権がTPPを締結することで狙った大きな理由は、一つはアジアの経済成長。もう一つは中国の経済を封じ込めることであった。

もし、当初案通りにTPPが締結されていればGDPは20.7兆ドルでEUを超える経済規模となったはずであった。

TPPのおさらいをすると、
2010年3月にP4協定(環太平洋パートナーシップ協定)参加の4ヶ国(シンガポール、ニュージーランド、チリ及びブルネイ)に加えて、アメリカ合衆国、オーストラリア、ペルー、ベトナムの8ヶ国で交渉が開始された。その後、マレーシア、メキシコ、カナダ及び日本が交渉に参加した。
2013年3月に安倍首相が参加を表明。甘利明が担当大臣に就任。

2017年、トランプが大統領に就任するとアメリカがTPPから離脱を表明。

アメリカが抜けたからというわけでもないけれど、似たようなものにRCEPというのがあって、こちらには
インドネシア、シンガポール、タイ、フィリピン、マレーシア、ブルネイ、ベトナム、ミヤンマー、ラオス、カンボジアに日本、中国、韓国、インド、オーストラリア、ニュージーランドの16カ国
が加入しており、中国の参加がTPPとは大きく異なる視点を提供している。

経済効果などについては、詳しいことはわからない。

2013年時点のこの本では、アメリカの消費額が9.5兆ドルあって、中国の2兆ドルを遥かに凌駕しているため、アメリカが多少後退局面に入ったとしても中国が代替できるものではないとしている。

逆に中国が後退してもアメリカほどの影響を与えるものでもない。

エネルギー価格

アメリカのシェールガス採掘により、アメリカでの中東からの石油の輸入が減っている。伴ってオイルの価格が下がっている。

ここにきて、イランとアメリカがきな臭くなってきたので上がり含みになっているが、バレル60ドルくらい。

中等の石油依存が減ってきたため、アメリカは中東への軍事費を縮小することができるようになる。

ロシアの歳入の半分はエネルギーの輸出であるため、エネルギー価格が下がることはロシア経済への打撃となる。

蓄電技術と価格低減により、再生エネルギーによる地域分散を欧州中心に検討されだしている。

日本では原子力と火力がもっぱらであるが、原子力は運転しなくてもランニングコストが多大にかかる上に使用済み燃料の処分など多くの問題があり、時流のエネルギーではなくなりつつある。

頓活

火力は、地球温暖化の原因である二酸化炭素を排出するので、いずれ主流から外れそうである。

まとめ

家電は汎用品であるため価格競争に負けることは自明であったにもかかわらず、技術に依存しすぎて墓穴を掘った。

新興国が欲しいのは多様な機能ではなく、ともかく価格であったにもかかわらず、低価格展開に対抗して高機能にこだわりすぎた。

さらに、アップルに見られるように「デザイン」と「ブランド」にも失敗した。

頓活

アップルの利益の6割はグローバル展開によって生み出されている。しかし、雇用の確保がなければ自国の経済や社会は発展できない。

1にも2にも、政治が進化していかないと、国際社会で孤立を深める一方であるが、現状では政治の進化を望めそうもない。ひとえに、有権者の責任である。



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