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経済学者の考えとは

さぼ郎
経営学とは、人間・あるいは人間の集団の意思決定を分析すること。そして経営学者は、よりランクの高い学術誌に何本の論文を掲載したかが重要であって学生からの評価はさほど気にしてはいない。

頓活

学術の姿勢としては理論と実証が不可欠になる。学問である以上、科学的なアプローチが前提となり、何千、何万の企業データから仮説をもとに検証していく。

理論を打ち立てたとして、その理論に合致しないケースがある場合は、合致しない理由を究明しなくてはならない。

一般に、欧米では「演繹的アプローチ」として、まず、理論の仮説を立てて、統計的に証明していく。

日本では「帰納法的アプローチ」としてケーススタディから定性的な情報を得て、そこから普遍的な法則へと導こうとする。

学術誌にもよるけれど、統計的アプローチによる論文のほうがケーススタディから導く論文より圧倒的に多いことで、経営学の学術性は欧米型のほうが主流のアプローチと言える。

しかし、統計的アプローチの欠点は、統計データという過去担ってしまったデータからの分析しかできないため、未来を予測するためには線形の変化しか負えない。

頓活

大きな変革やイノベーションを予測することには限界がある。

経営学のスタンスとしてマクロとミクロが存在する。マクロは企業を一つの構成単位として捉え、その行動、競合、協調、組織構造などを分析していく。

一方、ミクロの方は企業内部を詳細に分析していき、組織設計や人間関係を調べていく。

これらを踏まえて、経営学には大まかに3つの分野に分けることができるとか。

一つは経済学による分野。ヒトは本質的には合理的な選択をする という前提。

もう一つは、認知心理学による分野。ヒトや組織には、想定するほどの情報処理能力があるわけではなく、そのことが組織としての行動に影響を与えているとする考え方。

最後は社会学としての分野。社会的な相互作用が経営に与える影響を分析し、実際の経営に適用できないかと考える。

人と人、組織と組織による社会的な相互作用を研究してその理論を経営学に応用する考え方。

これらの立場から企業について4つの視点で考えてみると、
効率性
ヒトの経済合理性を重視して経営を考える
組織もコストで考えてみる
コストが掛かりすぎる組織は市場取引に転換していくし、逆に市場取引のほうがコストが掛かりすぎるなら組織に取り込んでいく
企業は効率性で考える
影響力
相手が強いと交渉力が弱められる
規模を大きくすることで経営資源の獲得に関して立場を強くすることができる
企業は力の集合として考える
経営資源
自社の強みとなっている経営資源をどのくらい使うことで戦略の実現性による競争優位を確立しようとする
企業は経営資源の集合体である
アイデンティティ
企業が目指す方向性に関してアイデンティティを共有することが重要であるとする立場

学問的には、「経済学」「認知心理学」「社会学」的な観点から「効率性」「影響力」「経営資源」「アイデンティティ」を組み合わせて考えるようになるようだ。

マイケル・ポーターは、企業存続の目的として「持続的な競争優位」を獲得することとした。このことは「ポジショニング」に尽きる。

頓活

ポジションを取るためには様々な圧力がかかる。この圧力に立ち向かうには圧倒する力が不可欠になるので、できる限りユニークなポジションを目指すべきである。

つまり、競争に勝つのではなく、競争を避けることを戦略とする必要がある。

仮に競争優位なポジションを取れたとしても、持続期間は決して長くはないので、新たなポジションの獲得を目指していく必要があるが、一旦、ポジションが取れれば、そのポジションから商圏を派生させることが重要である。

競争を避けるためには、より小さな市場を目指すことになる。企業規模が大きいからと言って大きな市場を目指すことにはコストがかかるので、関連ある小さな市場を多く開拓して競争優位を多く獲得することで、企業の持続時間を長く保つことができる。

そのためにも組織力が不可欠となる。

組織力を支える要素として「組織知性」あるいは「組織知能」というような言葉もあるが、「組織」自体は概念的なものであり自律的な知性や知能があるわけではない。

頓活

一つには企業の保有する資源として「人材」に知識が集積される。ただし、個人の研鑽の結果としての知識よりもチームや同僚、先輩・後輩との切磋琢磨による、結果としての獲得していく知識のほうが組織力につながってくる。

発想やイノベーションの原資としての知識の蓄積は「トランザクティブ・メモリー」として組織に蓄積されてくる。

ここでいう「transaction」とは、「密接に関連する複数の処理の集まり」に近いニュアンスの概念であり、個々の個人の頭やノートに書かれたものから、会議議事録やレポート類、あるいは、業務における成功・失敗の経験なども含まれる。

頓活

こうした組織風土があればこそ、個人の能力が引き上げられ、その過程で身についた専門性や経験が組織力を向上させていく循環を持つ。

しかし、これには前提として個人間の「同僚意識」のような馴染みの感覚(あるいはアイデンティティ)が必要で、欧米のように人材が渡り歩くことを普通に受け入れる組織風土になるには、まだ時間がかかるような気もする。

かといって日産や東芝のように、ある種エリートとして企業に採用されはするものの、そこから人脈を作りヒエラルキーを、頂上目指して上り詰めていく過程での、欧米型とは異なる人事の悪弊は、組織力の観点からはマイナスに作用することも目の当たりにした。

公務員組織や硬直した官僚的組織では、未だに旧態依然として人脈を形成してヒエラルキーを登っていくという人事スタイルを続けているが、太平洋戦争における海軍の組織構成も同様のスタイルで戦法の変化に上級幹部は追随できかねていたように思う。

過渡的には、M&Aやヘッドハンティングのような、馴染みのない組織や人材を受け入れて、その能力を摂取することで組織力を上げるような仕組みを作ることが必要になるし、個の人材で言うなら、組織を変える(転職)ことでスキルアップをしていくことを受け入れる組織風土も今後ますます必要になっていくであろう。



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