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マグニツキー法って、知りませんでした

さぼ郎
「香港人権・民主主義法案」が、ほぼアメリカ議会の賛成で可決され、あとはトランプ大統領のサイン待ちの段階だそうです。

ようするに、いかなることであれ「人権侵害」を許さないというメッセージなります。もし、香港に人民解放軍を介入させたら、アメリカは香港の優遇措置を廃止するという内容です。

トランプ大統領は貿易交渉の最中でもあり、そもそも人権侵害にはあまり興味がないそうですし、アメリカ農村部の支持なしには選挙には勝てません。彼的には苦渋の決断を迫られているようですが、議会では反対1なので、仮に大統領がサインを拒否したとしても、法案が通過することは間違いがありません。

これに対して中国は激怒しているという、いつもの筋書きです。客観的に見れば「内政干渉」のようでもありますが、「人権侵害」は無視しないということを国際ルールにしようというのがアメリカが目指していることです。

そもそもは、セルゲイ・マグニツキーという弁護士が、法執行機関と税務当局を舞台にした2億3000万ドル(当時のレートで約256億円)もの巨額横領事件を告発したことで、ロシア政府から拘禁され、挙げ句に獄中で死亡しています。

頓活

その代理人の弁護士も、審問前日にビルから転落しています。いかにもロシア的な有様です。

アメリカはこの事件を受け、2012年、関係者のビザ発給禁止や資産凍結を行うマグニツキー法を制定しました。オバマ政権のことです。

今回、アメリカでは香港における人権に対する法案が議会を通過したことに合わせてオランダでも「マグニツキー法」が可決されたようです。イギリスでも総選挙が終われば、同様の措置をとるとのこと。

しかし、ウイグル自治区の人権侵害に関しては、昨年、ルビオ上院議員がウイグル自治区の人権侵害に関してマグニツキー法に基づいて中国を制裁するべきと発議したようですが、その後、目立った動きが見られなかったのはトランプ大統領は人権侵害に関して関心が薄いからだとされています。

さて、我が日本はどうなのでしょうか?

2019年7月の西日本新聞の記事では、
日英など22カ国がウイグル族の大量拘束に懸念を示す共同書簡を出したのに対し、ロシアなど37カ国は中国政府を支持。中国側は支持が多いことから政策の正当性を強調
とのことで、反対が多数になっています。反対しているのは、ロシアや北朝鮮、シリア、キューバ、ベネズエラ、ミャンマーなど37カ国で、そもそも人権侵害を行っている国々でもあり、一帯一路で中国から経済的恩恵を受けている国々ではありますが、多数決が民主主義であるなら、これも民主主義的採決ではあります。皮肉なものです。
日本も野上浩太郎官房副長官が11日(2019.7.11)の記者会見で「国際社会の普遍的価値である自由、基本的人権の尊重、法の支配が中国でも保障されることが重要だ。ウイグルの人権状況を関心を持って注視をしている」と述べた。
とのことですが、この県に関して野党の動きやメディアの報道があまり見えません。今回の香港の問題でも同様ですが、アメリカの同盟国として日本はどういう立場を取るのか明確にするべきでしょう。

こうしたときには与野党が超党派として世界にメッセージを発信するべきと思いますが、いかなる角度から鑑みても、今の野党は全く木偶でしか無いのが残念です。

中国の経済規模が大きくなれば政治的にも開かれてくるとの期待は大きく裏切られていて、アメリカや日本が率先して単に「安い」というだけで、世界の工場として活用しているうちに、特定の分野ではアメリカを凌駕する所まで来てしまいました。

ま、日本も戦争に負けてコテンパにやっつけられたものの、「安かろう悪かろう」から始めて、今のレベルにまで来られたわけですが、人権侵害は戦前の話で、アメリカのおかげなのでしょうけれど、曲がりなりにも目に見えた国家による人権侵害は、いまのところは起きていません。

日本の立ち位置からすると、面と向かって中国に立ち向かうためにはアメリカの後ろ盾が不可欠ですが、トランプ大統領になってからは、それも金次第になっており、辛いところでもあります。

今の中国に面と向かって物が言えるのはアメリカしかなく、パワーバランスが微妙な段階になりつつあるように思います。

グローバリズムの当然の帰結とも言えますが、単に経済性だけで海外拠点に展開することの危険性を如実に示しています。政治体制が異なる(アメリカがあれほど嫌っている共産体制)中国に、安易に進出した日米欧の愚かしさが中国の発展を支えたわけです。

そのことは日韓においても同様と思います。製鉄、造船、液晶、携帯その他諸々の産業が、結果として日本の産業の脅威となり、にもかかわらず、いまだに韓国は日本を敵視しています。

つまり、グローバリズムとは、防衛のみならず経済や政治、文化においても永続的な緊密性を前提にした国家間においてこそ、展開すべき事であるわけで、その点、中国の「一帯一路」という政策は、本当に賢いと思います。

自由や民主主義は、効率が決してよくはありませんが、だからといって中国のような反自由、反民主主義は、国民にとって選択できる体制ではないという点において、永続性に疑義がありますが、日本でも国民の自由が保証されたのは1945年8月16日からで、それ以前は豪族と天皇と貴族と将軍と武士と薩長と官僚の支配にずっと甘んじていたわけですから、中国の体制も千年、2千年と続くのかも知れません。



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