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IQの高い上司

さぼ郎
日経サイエンス2018年5月号。頭でっかちは無用?」という記事がありました。

天才

一般的には頭の良いリーダーが率いるグループは客観的な基準で測って優れた成果を上げる事が以前からわかっているのだそうです。

しかし、そのリーダーの知能がずば抜けて高いと、逆に部下がリーダーをあまり有能ではないと感じる傾向があるようだそうです。

そこでカルフォルニア大学のサイモントンという先生が仮説を検証し発表したのだそうです。

方法は実際のリーダー379人に対して知能テストをし、それぞれ平均8人の部下から評価を受けるという形で調査をしたとのことです。

リーダー

細かなレポートは書かれていないのでなんとも言えませんが、ようはIQが120を超えだすと、部下からリーダーとしての評価が下がりだすのだそうです。

たまたま、丸善を通過して銀座線の乗ろうとして、つい、棚に置いてある本を眺めていて「経済学者たちの日米開戦」という本を見つけてしまって買いました。

経済学者たちの日米開戦

いまは、まだ、読む本が山積していて、読むのは、もう少しあとになると思いますが、陸海軍の参謀本部にいた人たちだってIQでいえば120超えの人たちだったはずです。

1939年、ノモンハン直後に対英米戦を想定した「秋丸機関」。
対英米の総力戦に向けての打開策を研究するために、日本の陸軍省経理局内に設立された研究機関。正式には「陸軍省戦争経済研究班」と呼ばれた
各班15名から26名ぐらいで総勢百数十名から二百名程度の組織で、有沢広巳さんが実質上の研究リーダーだったそうです。この有沢広巳というヒトは、秋丸機関に招聘されたときは、治安維持法で起訴されていたのだそうですが、秋丸中佐から「迎合することなく事実を書け」と言われていたのだそうですが、結局、報告書は焼却されたとのことです。

その幻の報告書が、いくつか現存していて、それを紐解いている本だそうです。

ちょこちょこと読んでみると、おもしろいところが散見されます。武藤章軍務局長は、日米開戦が決まったときに「国体変革までくるつまり敗戦する)」と言っています。

しかし「だからといって戦う前にシャッポを脱いで降参するような民族は永久に降参する民族で、叩かれても潰されても戦う民族はいずれ伸びる時が来る」と言っています。

ちなみに武藤章はA級戦犯で処刑されています。

この武藤章は陸軍大学32期卒業です。東条英機が27期。永田鉄山は23期。24期卒に酒井鎬次というヒトがいます。陸大に入った年齢で言うと東條が一番遅いです。

酒井鎬次
wiki「酒井鎬次」にリンク ↑

このヒトは、それこそ、カルフォルニア大学のレポートにあるようなずば抜けた知能があったと思うのですが、歴史的にはさほど有名ではありません。年齢では東條より3歳も若いのに陸大入学は3期も早く、作戦においても東條とぶつかり予備役に編入されています。

知能が、時代や経済や軍隊の現実を超越してしまうのではないでしょうか。

財務省だって内閣府だって、官僚は似たようなものと思います。上に立つ政治家は、偏差値が50の前後くらいでしょうけれど、官僚の偏差値は間違いなく70を超えているはずです。

政治家は官僚からレクチャーを受けるので一見わかったつもりにはなりますし、また、政治家の知能レベルでもわかるようにレクチャーするので、政治家レベルの知能でも、要点は理解できるわけです。

が、事の細かな部分までは分かってはいないと思います。そこが、官僚にとっては美味しい部分になっているのではないでしょうか。

その能力を「忖度」と「辻褄合わせ(世間的には嘘八百」に使い、それでも、政治家に従う背景は複雑なのでしょうけれど、共通していることは、彼らのモチベーションは「能力」の高さを示せることに尽きるわけです。

ヒトより上へ

官僚はIQが120を超えていても組織を統率できているのは、陸海軍とは異なり、個々のリーダーの資質や人徳で組織が動いているのはなく、「職階級制」という、最初に組織の構造があって、それぞれのコマにヒトをはめていくことでコマにはめられるヒトは実は誰でもいいようになっています。

これは11年間、公務員をやっていたのでよく分かります。コマにはめられる人材は、優秀なら優秀なりに、無能なら無能なりに組織が動くようにできています。無能なヒト、異様なヒトが来ても組織として破綻しないような仕組みになっています。

その大きな理由は、他との「競争」がないこと、「効率」や「能率」を至上のものとしていないこと。人的な「無駄」が多いことを挙げられると思います。

彼らは仕事で「成果」を上げるのではなく、仕事を使って自らの「能力」の高さを誇示することを至上のものとしています。

与えられた仕事はなんでもいいわけで、その仕事を通じて自己の能力を示すことが命題なわけです。だから、リーダーシップはさほど求められてはいないのだと思います。給与体系の「等級」がリーダーシップを保証してくれるわけです。

では、民間なら脳力至上なのかといえば、いうほどにはそのようなことになっていないと思います。大きな組織になれば、おおかた、官僚組織とさほどは変わらないはずです。

組織

外資やアメリカの企業などでは、そうは行かないのだろうと思います。彼らは「成果」の分析を常時していて、まさに成果至上主義で企業体を運営しているようです。

日本の企業も、だんだん、そこに近づいていくのでしょう。銀行のリストラが始まっています。せっかくいい大学出て銀行に入ったのに、これからは支店の閉鎖が続き、中の仕事の大部分はRPAという自動化になり、仕事のかなりの部分はAI化され、果てはブロックチェーンになっていくようです。

ビットコインは実世界の資産で担保されいないため、投機的目的で価格が不安定に変動しますが、マサチューセッツ工科大学では「トレードコイン」という暗号通貨を開発しているのだそうです。

トレード

トレードコイン」は、同盟を結び、同盟に参加するメンバーは資産を拠出して、その資産に応じた取引ができるような送金システムを作るのだそうです。そうなると、貿易における為替の手数料なども、金融機関は取れなくなるわけです。

これをマサチューセッツ工科大学では「次世代の暗号通貨」としています。資産の裏付けがあり、現実の資産に転換も可能なわけで、投機的に狙われる心配もなく、政治や経済の影響も大きくは受けない全く新しい物流の世界がワールドワイドで構築できるようになるのも、もうもうじきのような感じです。

世界の動きに、どこまで日本が追従できるかですが、武藤章の言うような「叩かれても潰されても戦う民族はいずれ伸びる時が来る」ような世代は一掃されてしまった感じがします。

今の日本人は「叩かれる前にシャッポを脱いで降参する」民族になってしまったようで、国会における総理の答弁などを見る限り、言い訳タラタラで、潔く責任を取るような民族ではなくなってしまったことを国のトップが日夜示してくれています。

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