PAGE TOP

取り組み

印刷する

単純な神隠しと青い空

さぼ郎


呼んでいる 胸のどこか奥で
いつも心躍る 夢を見たい

かなしみは 数えきれないけれど
その向こうできっと あなたに会える

繰り返すあやまちの そのたび ひとは
ただ青い空の 青さを知る

果てしなく 道は続いて見えるけれど
この両手は 光を抱ける

さよならのときの 静かな胸
ゼロになるからだが 耳をすませる

生きている不思議 死んでいく不思議
花も風も街も みんなおなじ

呼んでいる 胸のどこか奥で
いつも何度でも 夢を描こう

かなしみの数を 言い尽くすより
同じくちびるで そっとうたおう

閉じていく思い出の そのなかにいつも
忘れたくない ささやきを聞く

こなごなに砕かれた 鏡の上にも
新しい景色が 映される

はじまりの朝の 静かな窓
ゼロになるからだ 充たされてゆけ

海の彼方には もう探さない
輝くものは いつもここに

わたしのなかに みつけられたから


千と千尋の神隠し」というジブリの漫画の主題歌です。この詩を見る限り、意味の通じないところがいくつもありますが、とはいえ、メロディーがきれいなことと、ところどころに「なに!」ってなフレーズが散見されます。  


繰り返すあやまちの そのたび ひとは
ただ青い空の 青さを知る

あやまち」と「青い空」の脈絡がわかりませんが、思わず「そうなんだ!」と思ってしまいたい衝動が湧きます。

生きている不思議 死んでいく不思議
花も風も街も みんなおなじ

」と「」と「」が同列におかれているのも奇異な感じがしますが、生きていることだって不思議だし、せっかく生まれたのに死んでいくことが宿命なのも不思議です。

なぜ、いきなり「千と千尋の神隠し」になったかというと、たまたま見ていたアメドラで主人公が子供のころを回想して述懐するシーンがあって、

人は世界を変化させる と
それを父親から聞いたときは興奮した
しかし、他人が変化に気づくほどの
変化を起こすことは無理だと気付く
人は毎日世界を変える
でも、意味のある変化は遅く
人を疲弊させるから誰も挑戦しない

と、このような述懐なんです。たしかに、本当にほんの一握りの人しか世界を変えようと思って努力をしていないけれど、気が付くと確実に世界は変化している。

世界

そんな変化は、一握りの天才だけが世界を変えているわけではなく、自分が世界を変えていることなど全く考えてもいない人々の、日常の生活から世界が変えられているわけです。

つまり、世界は突拍子もないことで変えられることより、日常の単純なことの繰り返しの中から変えられていくことの方が多いのではないかと思うのです。

そんなこんなを見つけていたりしている中で、「いつも何度でも」の歌を歌うYouTubeが見つかったわけです。これを英語にして歌っているのもありましたが、いまひとつピンときません。

日本語のまま歌っているフランス人やメキシコ人がいましたが、日本人でさえ意味が通じないのに、外国の人が日本語で歌うのは、どのように意味を理解しているか気になってしまいます。

そもそも宗教感のある人々に「八百万の神」などの意味が通じるとも思えませんし、黒柳徹子のみたいなお婆さんやでかい子供のような脈絡のない、いわば駒埋めのようなシーンには、ちょっと辟易とします。

欲望

が、「カオナシ」とは人格の対極にある「欲望」のようなもので、恥とか外聞を捨ててしまえば誰であっても持っているカオナシは同じもののような気がします。

すずと、小鳥と、それからわたし、
みんなちがって、みんないい。

みんな違っていい」という個性があるから、自分は特殊だと思えるのだけれど、「生きている不思議 死んでいく不思議」において個と個の違いは寸分もない。

人は60兆の細胞で作られているという。その一つの細胞ですら、何億、何千億という分子で構成されている。その分子はといえば、とどのつまり中性子とか陽子で作られているわけで、どれだけ複雑なものでも、いきつけば必ず単純な系になる。

複雑

たくさんの人で構成されている社会であっても、複雑に見えるのはことさらに「」の違いを取り上げようとしているかのように見せかけているけれど、一皮むけば、みんなカオナシの集合でしかない。

世界は、実に単純に作られていて、それを複雑だと思っているのは、恥とか外聞の近傍にある「知性」という錯覚でしかないのではないでしょうか。

本当は、単純作業も大量になってくると「管理要素」が入るので、作業の手順や効率や精度や原稿管理など、決して単純な作業にはならないということを顛末にしようと思ったのですが、脈絡のない詩と美しいメロディで成立している歌から、方向が狂ってしまいました。

キーワード