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メディアの役割

さぼ郎
アメリカの大統領選挙でトランプ候補が選出されました。これは大方の予想を裏切ったことと思います。

ドナルド・トランプ
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言うことが過激だし、ビジネスマンとは言え大金持ち風だし、政治経験もなさそうだし、イスラムに対しても、メキシコに対しても、あるいは保護貿易に関しても、少なくとも世界を牽引してきた「世界の保安官」としてのアメリカとしては、なんだかふさわしくないような雰囲気が蔓延していたと思います。

対するクリントンさんは、メール問題は痛い失点になりましたが、これとて、側近は何回もBlackBerryでメールを送受信することを止めるように忠告されていたようですが、止めることがなかったという「傲慢」さと、クリントン財産という集金マシンを使って世界各国からの寄付を受け取っていたという「強欲」さが、仇となりました。

アメリカ議会
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という流れの記事を、アッチコッチで目にしたと思います。しかし、大統領選挙で同時にアメリカ連邦議会の上下両院の選挙は8日、大統領選挙と合わせて投票が行われ、このうち上院では100議席のうちおよそ34議席が、下院では435議席すべてがそれぞれ改選されています。

共和党が上下両院で多数派となっていますが、下院に続いて、上院でも、共和党が多数派となりました。大統領と議会上下両院がともに共和党となったことでねじれが解消されることになったわけです。

そもそも「上院 (upper house)」「下院 (lower house)」という言葉は、その昔、首都がフィラデルフィアにあった頃の建物を2階と1階とで使い分けていた頃の名残だそうです。

世論を反映させるのが下院で、各州を代表するのが上院ということになります。アメリカの上院と下院の役割や選出については、アメリカ憲法に詳しくないとなんとも言えないので深追いはやめます。

要するに、今回の選挙でアメリカ議会は上下院ともに共和党が多数になっているということです。

しかし、一体、上院の100議席のうち共和党が何議席を獲得したのかを調べようとすると、なかなか見つかりません。探し方が悪いのかは分かりませんが、やっとCNNニュースで共和党が54、民主党が46という記事を見つけました。

CNN
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下院については、きっと古い記事だと思いますが、共和党が246で民主党が188で欠員が1となっている記事を2つほど見つけました。

クリントンとトランプの事は、見飽きるほど記事が溢れていますが、肝心な議会のこととなるとさっぱりメディアは扱いません。

昨日のモーニングサテライトでは、堀古さんが「上下院と大統領が共和党になったので、世界の経済にとってはいいことだ」と言っていました。

ダウ
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現実にはアメリカの株価は急進して、ここに来て利益確定のウリで下がっているようです。堀古さんの話では、トランプへの期待というよりは、共和党体制への期待のようです。

共和党が推進しようとする経済政策とオバマ政権での経済政策の違いとは何なのでしょうか?

クリントンが大統領になってもオバマを継承することは見えていました。それに比べてトランプになれば規制の緩和、小さな政府、公共事業投資など、景気刺激策を実行する可能性に対する期待のようです。

そうした肝心なことを全く伝えることもなく、来る日も来る日もトランプとクリントンのおもしろネタばかりをテレビ各局、新聞は報道し続けていたように思います。

選挙結果が判明したときは101円台まで円高になりました。いまは107円くらいです。

株価も為替も、予想するほどの知識があるわけではありませんが、メディアの報道に非常なる偏りがあって、きっと、これはアメリカも同じようなものとするなら、大衆の意向を操作されてしまいます。

これが戦前のように政府の意向でメディアが抑え込まれているなら仕方のないことですが、自主的な判断による偏りなら、全く公平でもないし中立でもないし、世論形成に対する報道の役割をしていないと思わざるを得ません。

世界はハプニングで作られているわけではなく、経済や金融や政治や宗教や防衛や、そして国民としての総体の価値観などで作られているわけで、メディアは、あまりにもハプニングを追いすぎるような気がします。

世の中の平均的な知識の水準を底上げするのが教育とメディアの主たる役割のように思っているのですが、どちらもいまのところいささか残念だと思います。

野口悠紀雄さんの「アメリカ型成功者の物語」に、ゴールドラッシュで西海岸へ人々は向かうこととなったわけですが、成功者はそこで金を掘り当てたヒトではなく、雑貨を売ったヒトやGパンを売ったヒト、物資を運ぶために鉄道を引いたヒトなどであったわけです。

リーバイ・ストラウス
「リーバイ・ストラウス」にリンク ↑

テレビやラジオが偏っているとは言うものの、インターネットとてニュースソースの多くはメディアからの流用にならざるを得ません。個の発信云々を言われますが、個の発信を丁寧に漁っているわけにも行きませんし、ガセネタもたくさん混じります。

やはり、メディアがきちんと立場を明確にして中立の報道と中立の解説をしていくことが、いま、一番求めなければならないように思います。テレビや新聞の論調に多様性が無いことが、ワタシ的には、今の日本で起きていることの不思議の一つになっています。

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