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売血とヒロポン

さぼ郎
昨日、区の検診で採血のときに、消毒にアルコールを含浸したガーゼを使うかの問答のときに、「戦時中はどうしていたんでしょうか?」と聞いた所、さすがに知らないとのことでした。

アメリカの映画などをみると、兵隊にモルヒネの注射を渡しておいて、負傷したら自分でモルヒネを打つようなシーンが映ります。

そんな話からヒロポンの話まで出ました。ヒロポンというと、イメージとして「売血」を想起してしまいますので、少しその辺を整理してみました。

ヒロポン

まず、ヒロポン。メタンフェタミンという薬物のようです。アンフェタミンは中枢神経を興奮させるので覚せい剤として使います。

実は、1893年(明治26年)、日本の薬学者・長井長義によりエフェドリンから合成されて生まれたのだそうで、日本製です。

第二次世界大戦当時には連合国軍と枢軸国軍の双方で、航空機や潜水艦の搭乗員を中心に、士気向上や疲労回復の目的で用いられたそうで、爆撃機などの長距離、長時間頑張らなければならない人に投与したようです。

また、ヒロポンの注射薬は「暗視ホルモン」と呼ばれ、B-29の迎撃にあたる夜間戦闘機隊員に投与され、一晩で5機のB29を撃墜した黒鳥少尉の例もあったとか。ちなみに、黒鳥少尉は戦後、ヒロポンの副作用に悩まされたようです。

ヒロポンの名称は「疲労がポンとなくなる」なんて頃から来たという都市伝説がありますが、ギリシャ語の「ピロポノス(労働を愛する)」から来ているんだとか。

戦後、軍隊が大量に持っていたヒロポンが闇世界に放出され、酒や煙草が手に入りにくかったせいもあって、蔓延し、注射の使い回しで肝炎が広がったようです。

2014年現在、処方箋医薬品として「ヒロポン錠」「ヒロポン注射液」の二種類が製造されているそうです。

輸血による肝炎の伝染については、「売血」が大きく影響しています。1950年から60年代位までは、血は買ってもらえました。

民間の血液銀行
広島血液銀行(ジェイ・エム・エス)、日本ブラッドバンク(ミドリ十字)、ニチヤク血液銀行(日本製薬)、富士臓器製薬(みらかホールディングス)、福岡血液銀行(アステム)、富士血液銀行(やまひろクラヤ三星堂)、日本中部ブラッドバンク(日中物産)、相互ブラッド・バンク(ビー・エム・エル)、化血研血液銀行(化学及血清療法研究所)

血を売りすぎて「黄色い血」になってしまったくらいです。血を売るような人たちの間に流行していたのがヒロポンで、で、注射の使いまわしから肝炎が流行しだしていましたが、規制もされず暴力団の資金源にもなっていたようです。

一説には売血の20%くらいに肝炎ウィルスがいたという話もあります。この頃の小学校などのツベルクリンとかBCGなども、でかい注射器で回し打ちでした。自分の前の子に肝炎があれば、感染したわけです。

回し打ち
注射回し打ちの記事にリンク ↑

1964年ライシャワー駐日大使が刺されるという事件が起き、その時輸血に使った血液からライシャワー駐日大使が肝炎に罹患し、やっと1964年に閣議で輸血は献血にしようということになり、その5年後の1969年に売血は終息しました。

モルヒネとヘロイン
モルヒネは、1804年、ドイツの薬剤師フリードリヒ・ゼルチュルナーにより、初めて分離され「夢のように痛みを取り除いてくれる」ということから、ギリシア神話に登場する夢の神モルペウス (Morpheus)にちなんでモルフィウム と名づけ、効用の研究・宣伝に当たった。
とwikiに書かれています。南北戦争ではモルヒネは広く使用され、軍人病(モルヒネ中毒)として40万人を超える被害者を生み出したとのことです。ヒロポンと一緒ですね。

阿片から分離抽出して作ったのがモルヒネです。ヘロインは、そのモルヒネから作るようです。建前はモルヒネの副作用から解放するとされていたようです。
常態の人間が一生のうちに体感し得る全ての「快感」の合計を上回る快感を瞬時に得ることに等しいと云われるその快楽度の強さがある
とのことですが、副作用も強烈のようです。

ちなみに阿片はケシから採取するのだそうですが、採取したままでは不純物が多すぎて効き目がさほどのこともなく、純度を上げるためにいろいろな工夫があるようです。

阿片の歴史は古く紀元前3400年頃に、すでにメソポタミアではケシを栽培していたと推定されているようで、歴史はかなり古いです。

イギリスが中国との貿易で輸入超過になることを防ぐ目的でインドで栽培された阿片を輸出しようとしてトラブルになったのが「アヘン戦争」です。

アヘン戦争
wiki「アヘン戦争」にリンク ↑

イギリスは、
1773年にベンガル阿片の専売権を獲得しており、ついで1797年にはその製造権も獲得しており、これ以降同社は中国への組織的な阿片売り込みを開始
していますが、中国では阿片の輸入を禁じていたのですが、密貿易を通じて販路を拡大していたわけです。

大麻とマリファナ
大麻というのもあります。これは麻の花や葉から樹脂化するのだそうです。スペイン語圏ではマリファナ、中東ではハシシ。貝原益軒の著書にも登場しています。

鎮静剤、睡眠薬、痛み止めとして戦後、規制されるまでは普通に使われていたようです。タバコやアルコールよりも安全とする報告もあるようですが、ヘロインやコカインへ流れることが多いようで、日本では予防的措置も考えて「大麻取締法」で規制しています。

タバコにしても最初の1回がなければ、中毒もないわけで、一生分を超える快楽が得られるとしても、薬による快楽がもたらす物の本質がなんのかは、とても曖昧で、その代償の方がこっぴどく大きいように感じます。

戦争などで、痛みや恐怖からの解放や、眠気ややる気を喚起するための使用も考えられますが、そうまでしてやらなければならない戦争の本義も考えなければならないと思います。

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