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科学

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グリンパティック系という脳の掃除屋さん

さぼ郎
日経サイエンス2016年7月号の記事です。ということは、先月手元に来た号の記事で、後で読もうと思ってコピーして置いた記事を今日になって読みだして、とても面白いのでまとめてみることにしました。

日経サイエンス

脳は体全体の20~25%のエネルギーを消費しているのだそうです。エネルギーを燃やせばカスが出るのは想像に難くありません。実際に1日7グラム(1ヶ月210グラム、1年2.5キログラム)の使いふるしのタンパク質が排出され、それを新しいタンパク質と入れ替えているのだそうです。

ゴミ

なぜなら、老廃物を除去するメカニズムが不明だったからです。逆に、老廃物の排除がうまく行かなくなると様々な障害が起こることはわかっています。

アルツハイマー病やパーキンソン病なども、老化に伴う神経変性疾患で有るわけですが、いまだに有効な治療法が見つかっていません。

認知症

一般に体内では「リンパ系」がタンパク質の老廃物を除去し血管に集めてきて腎臓や肝臓で分解しているわけですが、過去100年間、脳や脊髄にはリンパ系が無いとされていたようです。

詳しい話は日経サイエンスを読んでもらえばいいのですが、要するに、血管と血管を取り巻く外壁の間に空洞があって、その空隙を体液が流れているのだそうですが、その壁にアストロサイトという器官に流れ込み、そこから滲みでた体液が、今度は静脈の周囲腔に取り込まれて脳から排出されているらしいことがわかってきたようです。

ここで重要な事は「睡眠」です。なぜ、人生の3分の1も寝ていなければならないのかというと、脳の老廃物を脳から取り出す役割は睡眠中に活性化するからなのだそうです。それと動脈の拍動も重要なようです。

睡眠

逆に、アルツハイマー等の認知症が現れる前に睡眠障害が起きるのだそうです。つまり、睡眠障害は認知症の副次的影響ではなく、睡眠障害によって脳内の老廃物排除が滞ることから認知症という結果に繋がるのではないかという推論が立てられています。

血管と外の壁との間にある空隙は睡眠中に60%も拡張するのだそうです。

ちなみに「グリンパティック」と言うのは「グリア細胞」と「リンパ液」を合わせた造語だそうです。

ということは、認知症の改善薬として、このグリンパティック」系の改善薬が開発されることで、認知症の特効薬になる可能性が見えてきたわけです。さらに、このグリンパティック」系は老廃物の排除だけではなく、様々な栄養素を脳に届けているようでもあり、まだまだ、研究の余地が少なくありません。

なんにしても、凄いメカニズムを自然はこともなげにつくり上げるわけです。山中教授も今日のニュースでiPS細胞に人工知能やゲノム編集などを組み合わせて実用化していきたいと抱負を語っています。

山中教授
山中教授の記事にリンク ↑

自然が進化の過程で獲得してきた様々なメカニズムに、どこまで肉薄できるのかは不明ですが、人間的知能を究極まで進化させたとしても生物や宇宙の神秘の解明はできないように思っています。

ことは人間の知性の遥か彼方で起きているという感じがしています。

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