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マニュアルをDITAにする理由

さぼ郎
DITAという規格があって、「ドキュメントを真の経営資源にするための国際規格」ということになっています。国際規格だから偉いというわけではなく、目的があります。

マニュアル制作の費用が莫大であること
グローバル展開において翻訳費用が莫大であること
改定の都度に、制作費用、翻訳費用が発生すること
印刷費用が莫大であること
コスト構造が不透明であること

等が挙げられています。それ以外に、軍事のように各社各様の仕様であったりマニュアルであれば、利用者(兵隊さん)にとって不便であること。

実はDVDやテレビの操作だって、携帯やスマホの操作だって、マニュアルの規格は統一して欲しいと思うのですが、コンシューマが対象になると差別化のために各社各様に努力してマニュアルを作るので、統一するなら社会主義にでもならない限り難しいかもしれません。

それに比べて「軍隊」、それもアメリカの軍隊は発注額がハンパじゃないので、納入業者を言いなりにすることは可能です。

戦闘機

DITAは、この軍事から派生した文書技術を民生にも使うようにしたというのが、経緯じゃないでしょうか。

つまり、

印刷しない
だから、DTP等のレイアウト費用もいらない
改変があれば改変箇所だけ作り直せる
制作プロセスが定量化できるのでコスト算出も明快

といいこと尽くめになります。
さらに、

世界同時リリースが可能
ドキュメント規模の拡大
製作工程の短縮化
どこで制作してもドキュメントの品質に差がでない

マニュアル制作の費用が莫大であること

マニュアルも、使う人の対象の範囲によって、作り分ける必要があります。

ある程度のスキルを前提とした操作マニュアルなのか、全く初めて使う人向けのマニュアルなのかによっても異なります。

つまりは、その利用目的によってポジションが異なると思います。

規格化して、どこで作っても成果も作業費も統一されてくるとなると、そこに従事する企業にとっての売上は「工夫」や「差別化」ではなく、単に「ボリューム」の違いだけになります。

また、マニュアルである以上、公開されるまでは「機密」情報でもあるので、やたらと外注できるわけでもありません。

結果としてドキュメントの品質低下は免れないことは必至となることは目に見えています。

お金

単にコストのことだけなら、売上との兼ね合いで決めればいいわけで、ユーザーサービスを犠牲にしてまでコストを下げるべきではないようにも思えます。

翻訳費用が莫大であること

翻訳費用は、マニュアルを構造化すれば下がるということでもないわけです。

翻訳費用自体はいずれ、補助的であれAI化していくことで軽減できるようになっていくことと思います。

人工知能

構造化することで翻訳費用が軽減できるとするなら不要部分の翻訳がいらなくなるということだとするなら、管理方法を考えれば、その部分は対応が可能なような気もします。

改変箇所だけ作り直せる

対象とするトピックだけ直せばいいということのようですが、マニュアルの改変はトピックだけの修正では済まないことも多々あります。

確かに、ページレイアウトだと、改変箇所の範囲によってページの構成まで変更してしまうことも考えられます。

そのことは、トピック単位にしたとしても、削除するトピックや新たに作成するトピックなどが発生するでしょうし、関連するマップの再構成、確認などページレイアウトとは異なる煩雑さが発生するように思えます。

改変も、文字だけや対象センテンスだけですむ場合は、「改変箇所だけ」作り直せるのは便利とは思いますが、多国語化している場合などは、ワークフローとスケジュールと確認検証などが必要と思うので、それなりに大変な気がします。

設計

つまりDITAだからできるのではなく、ワークフローもできるCMSが不可欠ということに過ぎません。

制作プロセスが定量化

確かに、工数が請け負う企業によって異なることは少なくなると思います。

その分、請け負う企業のスキルの差が出にくくなることが、果たしていいことなのかは簡単には言えません。

また、マニュアルの元原稿を誰が作るのかによって、トピックへの分解作業やらマップへの展開、翻訳の手配などを、どこが司るのかによっても、コストのかかり方は変わってきます。

コストダウン

また、図版などの作成も、DITAに合わせて書き換える必要があって、どの時点からコストダウンが可能になるのかは、簡単には言えないように思えます。

まとめ

マニュアルだけでなく、ドキュメントを構造化する目的は、「標準化」に有ると思います。

その標準化は、1企業の標準化だとするなら、多くのケースでオーバーコストになる懸念は払拭できません。

納品先(あるいはエンドユーザー)が指定する「標準化」に則ることで、最大の目的が達成できると思います。

そこから考えられることは、コストよりも「標準化」から得られる恩恵が優先されていることは自明です。それはERPにSAPを使うことと、ほぼ近似していることで、それが世界戦略であって、グローバリズムの本領なのだと思います。

いかにビットコインが優れていて将来的かという観点からホリエモンにインタビューしている記事を読んだのですが、ビットコインの基幹をなすブロックチェーンという技術の優秀性において世界を席巻するのではないかというような問いかけに、
ブロックチェーンっていう便利な技術があります。それを何に使えますかって考え方でうまくいくわけがないんですよ。
社会の問題を解決しなきゃならない。これを、こうやって解決しなくちゃいけないよねっていう問題意識があって、そこにブロックチェーンが使えるねって考えるのが自然なんじゃないの?
と答えています。軍需で考案したインターネットがこれだけ世界に普及したのだから、軍需で使用されて都合がいいDITAなんだから民生でも浸透するよね というようなことに似ているような気がします。

業界としてマニュアルの標準化が不可欠だからDITAを使おうというような展開でない限り、どうしてもDITAでなければならない理由が見つけられません。

ダーウィン

Darwin Information Typing Architecture」の冒頭の「Darwin」は、おそらく当初は「Document」だったのだと思います。「文書情報を構造的に作成する方法」のようなつもりだったところ、「SGMLの二の舞だ」とかいって、それじゃ「ダーウィンだ」あたりが正解のような気がします。

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