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科学

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遺伝するエピジェネティクス

さぼ郎
日経サイエンス2015年7月号に「遺伝するエピジェネティクス」という記事がありました。

日経サイエンス

書いているヒトはワシントン大学の教授だそうで、日経サイエンスが取り上げる、この手の外国の先生の話は、あまり信用しないようにしているのですが、いろいろ経緯があって「エピジェネティクス」というキーワードに興味あって、読んでみました。

言葉を整理してみます。

遺伝:genetic
遺伝学:genetics

genetics」と複数形にすることで「遺伝的特徴」ともするようです。

日本語では「遺して伝える」と非常に明快な漢字二文字ですが、英語にするとこのような有様です。

そこに「epi」をつけると「」「その上」「」というような接頭辞なのだそうです。

ということで「epigenetics」は、「遺伝学の外」ということでもないでしょうから、「遺伝的特徴の外」というような意味で考えるとよくわかります。

ところが「genetic」を「遺伝」としたのはとても明快なことでしたが、その後の発見で、どうも遺伝子以外に後天的に獲得した形質が細胞分裂などのタイミングにおいても、継承されることが分かってきたあたりから「遺伝外の」というような意味で「epigenetics」なる用語が使われるようになった模様です。

ここからは持論ですが、明治早々の指導者は、政治だろうが科学だろうが軍人だろうが、おおよそリーダーを目指す人々は勉強をしていて、多くは漢学の素養があったことにより、実に的確な翻訳をしています。

和語に置き換えられた言葉は、漢字の持つ意味と熟語となった意味を導出しやすく、かつ、アルファベットをダラダラ書き並べなければ言葉にならないような不体裁な言語でなかったことにより、頭のなかでのイメージがとても豊富になるのが日本語の最大の特徴だと思っています。

逆を言えば、和語にならずに舶来言葉を単にカタカナに置き換えている用語は、日本語化が未熟、あるいは未完成で、舶来のままを受け入れざるを得ない、不体裁な用語であり、多用するジャンルであるなら日本語的知性が追随できていないジャンル、あるいは、業界なのだと 根拠は全くありませんが、確信しています。

例えばIT業界などは、アメリカの言いなりに尻馬に乗っているだけの事になっているがゆえに、日本発のイノベーションはLINE(韓国ネット企業日本法人による和製とのこと)とゲームくらいでしかありません。

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FacebookとかtwitterとかYouTubeとかAmazonとかは、アメリカ発のイノベーションですし、マイクロソフトもアップルもアドビもアメリカ製です。

で、話を「エピジェネティクス」に戻すと、「エピジェネティクス」を「後成的遺伝学」などと訳す例もあるようです。およそ漢文力の欠如したヒトが考えだしそうな言葉です。

また、話を脱線させると、「漢文」が中国のもので、日本人の魂を取り戻すためには漢字以前に戻せといったのは本居宣長ですが、思考において文字があるのとないのとでは、大きく異なることは否定できません。

しかし、「音(オン)」として使っていた漢字に「訓(クン)」という大和言葉をあてて、五七五の調子を当てたのは発展的日本語であったように思います。

最近考えたことであるのですが、平安時代や鎌倉時代には母音が今以上にあったようですが、江戸時代にはいまの「あいうえお」に収斂しています。

このことが英語を苦手な民族にしていることは事実だと思いますが、逆を言えば、なぜ、母音が減ってきたかを考えてみると、発音の多様性ではなく、会話の中で漢字をイメージし、その漢字の持つイメージを前提にするという表意言語の宿命でもあったように思うのです。

方言を排除する過程で、母音が明快になってきたのかもしれません。東北に行くと、かつてならフランス語のような言葉に聞こえました。

カタカナの用語を多く使わないと伝わらないジャンルでは、イメージを彷彿とすることができず、世界的に見て後発に回らざるをえないということです。

そこで「エピジェネティクス」を持ち出すと、これは完全に負けています。何もイメージできません。「遺伝修飾子」なんかが良さそうですが、ワタシが提唱ても何の意味もないので「エピジェネティクス」で通しますが、ようは受精後に獲得されるDNAに対する修飾子のことで、メチル化とかアセチル化のようにいわれます。

エピジェネティクス

白黒で見にくいかもしれませんが、このようなものだそうです。DNAにくっついているのですが、これにもパターンがあって、グアニンの手前にあるシトシンについていることが多のだそうで、染色体全体には2800万箇所もあるのだそうです。

標識

たまたま読んでいた免疫の本にもありましたが、免疫が自分の細胞であるか、他から侵入してきた細胞であるかの識別にも、この「エピジェネティクス」を標識にしているようです。

一卵性双生児でも、個体による形質の差ができるのは、この「エピジェネティクス」によると言われています。

双子

受精後の母体の飢餓経験が出産後胎児が成人してから影響が出たりするのも「エピジェネティクス」による影響ですが、受精すると卵子や精子の「エピジェネティクス」はリセットされるということになっていましたが、ワシントン大学の先生によると、獲得した「エピジェネティクス」的変異は4代先くらいまで継承されることもあるようです。

エピジェネティクス」的変異には、遺伝的変異の千倍くらいの確率で起こるようで、自然選択は集団の中の最適な適応個体を反映させて環境に適応させてきたようです。

そういえばテレビで神田の古書店で最古の書籍を探すような番組をやっていました。答えは百万塔だったのですが価格が千六百万円とかでした。

話がそれるから短めで止めますが、称徳(孝謙)天皇が作らせたもので木を旋盤で削って、その中に印刷したお経を入れて諸国に配布したものです。といえば、簡単な話ですが、100万個作るのに使った木材や運搬。切削に供した動力、刃物。印刷に供した紙、印刷技術など謎が多いです。

百万塔陀羅尼
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印刷というとグーテンベルクの聖書(1455年)が有名ですが、世界最古の印刷は百万塔の陀羅尼(764年)です。

どちらにせよ、宗教のちからは凄いものですね。ちなみに百万塔は6年だか7年だかかかったようです。生産管理や品質管理、納期、配送などはどのように管理したのでしょうか、とても興味があります。

卑弥呼

称徳天皇は、その前には孝謙天皇といって聖武天皇が父で光明皇后が母の女性天皇で、弓削道鏡を愛人にするなどいろいろ噂のある女性天皇でした。女性天皇と女系天皇は意味が異なり、日本の歴史では女系天皇は未だ出現していません。

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