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科学

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哺乳類の寿命と皮膚線維芽細胞の分裂回数

加齢生物学 <老化の基礎08>

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分裂回数

寿命と細胞の分裂回数は比例関係です。例えば、寿命が2年程度のマウスから単離した皮膚線維芽細胞は10回程で分裂を停止します。一方、寿命の長いヒトから単離した皮膚線維芽細胞は80回程度分裂することが可能です。

1961年、ヘイフリック博士らはヒト胎児の線維芽細胞を培養し、その一部を新たな培地で増殖させることを繰り返すと、ほぼ一定回数の分裂後に分裂を停止することを発見しました。これは「ヘイフリック限界」と呼ばれています。

この発見は動物細胞が無限に増殖できると考えられていた時代に驚きを与えました。

ヘイフリック博士の報告から30年以上たった1990年代に無限に分裂する細胞と有限な分裂をする細胞との違いが明らかになりました。前者ではテロメラーゼという染色体の両末端構造の長さを維持する機構が働いているのに対し、後者ではそれがないためにテロメアが次第に短縮して、やがて細胞が分裂できなくなるということです。

なおテロメアは細胞分裂するたびに短縮し、高齢者ほど短いことから「生命の回数券」と言われることがあります。しかし、寿命がヒトの30分の1のマウスの正常体細胞のテロメアは、ヒトよりも5倍以上長くテロメラーゼ活性もあることを考えるとテロメアの長さが寿命や老化速度を決めていることはなさそうです。(老化の基礎06:テロメア仮説の矛盾点も参照してください

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