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科学

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テロメア仮説の矛盾点

加齢生物学 <老化の基礎06>

ken
テロメア仮説

そもそも「テロメア」とは、何かということですが、ギリシャ語で「末端」を意味します。なんの末端かというと「染色体」です。DNAは染色体という単位に分断されています。

そのそれぞれの染色体の終端に有るのがテロメアです。DNAを複写するときに、どうしても末端の方のDNAの複写が出来ない部分が生じてしまうので、テロメアとして、無意味な繰り返しが作られているのです。

テロメアは染色体末端の特殊な構造であり、染色体末端を保護する役目ももっています。

テロメア
wiki「テロメア」の項による リンク ↑

竿竹のゴムキャップのようなものと考えればわかりやすいでしょう。

多くの体細胞は分裂の度にテロメアが少しずつ短くなることが分かっています。テロメアが消滅すると分裂が停止すると考えられます。

テロメアが一定長より短くなると不可逆的に増殖を止め、細胞老化と呼ばれる状態になります。細胞分裂を止めることで、染色体の不安定化が起こることを阻止し、癌のような増殖から細胞を守る働きがあると考えられていますが、決定的な説ではありません。

おそらく理論的には正しいのだと思いますが、細胞老化はテロメアがまだ十分残っている段階で起こりますし、実験マウスのテロメアはヒトより五倍長いにもかかわらず、その平均寿命は二年、細胞は15回(ヒト細胞は70回)分裂すると老化します。

つまり、マウスのテロメアの長さと細胞分裂の回数を見る限り、テロメア短縮以外にも細胞老化の原因があることは確実です。

早老症の一つであるウェルナー症候群や、羊のドリーの体細胞の核から作られたクローン動物においてテロメア短縮が見られることから、テロメアによる細胞老化は個体の老化と関連することが示唆されていたため、テロメアが老化の主因であるかの説が主流でした。

ドリーは6歳の羊からクローンで作られた雌の羊ですが、当初は、6歳という年齢のテロメアの長さから生まれたからではないかという仮説もありましたが、後に、ほとんどのクローン動物が正常なテロメアの長さが有ることから、その考えは否定されました。

不死化したがん細胞にはテロメラーゼというテロメアを伸長させる酵素が活性していることが報告されています。不死化することで異常増殖することになります。

ということでテロメアが細胞の老化に関与していることは老化条件の一部であって、そのことだけで老化を説明することが出来ないということがわかってきました。

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