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科学

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老化仮説の特徴

加齢生物学 <老化の基礎05>

ken
老化

現代版では、「プログラム説」と「擦り切れ説」に大別できます。

プログラム説」とは、老化は遺伝的に決定されているという考えで、マスター遺伝子説、テロメア短縮説などがあります。我々は当初プログラム説に立って研究をしました。しかし、老化を決定づける遺伝子は発見できませんでした。プログラム説を支持するデータはどこにも存在しません。

擦り切れ説」はごく自然な発想です。生物でも機械でも、消耗すれば劣化するのは避けられません。その原因から、活性酸素障害説、DNA損傷説、老廃物蓄積説、エラー破綻説、免疫/内分泌系破綻説、生体物質架橋説などが提唱されました。

これら諸説はすべて老化の一部を反映しますが、科学的な証明が困難です。

最近、細胞老化が老化の主因であることが証明されました。

細胞が老化すれば、器官・組織の機能が劣化し、生命が危うくなるのは当然でしょう。遺伝子工学の技術が発展したために、遺伝子の機能を個体で調べることができるようになりました。その結果、細胞老化と固体の老化の正の相関がマウスで証明されました。

細胞老化の誘導因子と個体老化の誘導因子も一致します。

成長に関与する遺伝子は、全て老化を促進する遺伝子になり得ると考えています。細胞を培養すると、増殖が低下する細胞では、細胞老化を示すことが観察されています。

最近、「長寿遺伝子」などというキーワードがメディアに載りますが、長寿変異体の遺伝子を解析すると、障害に対する抵抗を増強する働きを持っている傾向があります。この傾向は、利点ばかりではなく、欠陥もあります。それは成長が悪く、動きが緩慢で、生殖能力が低下しています。

つまり、長寿を司る単体の遺伝子など存在せず、むしろ無数の遺伝子の組み合わせによって、遺伝的な寿命が決定されると考えるべきでしょう。

今後も、新しい長寿遺伝子が見つかる可能性は少なく、むしろ、長寿に良いとされることを実践することによる効果のほうが格段に大きいはずです。

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